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Hitoshi Koide (2007) Microbubble carbon sequestration into unconfined aquifers, Japan Geoscience Union Meeting 2007 (JpGU2007, Makuhari Messe, Chiba, Japan), May 23,2007, Presentation L217-001
Hitoshi Koide (2007) Microbubble carbon sequestration into unconfined aquifers, Japan Geoscience Union Meeting 2007 (JpGU2007, Makuhari Messe, Chiba, Japan), May 23,2007, Presentation L217-001 Newly proposed microbubble carbon sequestration technology can provide safe and efficient subsurface storages of carbon dioxide in unconfined aquifers. 小出 仁 (2007) マイクロバブルCO2地中隔離法の提案, 日本地球惑星科学連合2007年大会(千葉,幕張メッセ国際会議場)予稿集, セッションL217: 地球温暖化防止のための地球惑星科学, 2007年5月23日,発表L217-001 CO2地中貯留は、地下深部の岩石の微細な間隙中にを分散貯蔵するので、本来安全な技術である。既に実績もかなり在り、実用的でもある。しかし、地球温暖化防止のためには膨大な量のCO2を貯留するため、安全性の高度化と効率化―コスト削減の
努力が重要である。径数十ミクロン程度以下のいわゆるマイクロバブルは、合体して大きなバブルを形成するより、むしろ縮小して急速に溶解消滅する傾向がある。マイクロバブルの性質はまだよく解明されていないが、縮小する際に内部は高圧になるので、表面積が大きいこともあって、溶解が速くなる。地下ではマイクロバブル内のCO2注入法は超臨界状態になる可
能性が高い。マイクロバブルは、大きなバブルに比べて浮力がごく小さいため、水中でほとんど上昇しない。このようなマイクロバブルの特性は、CO2の地中隔離に理想的な性質である。注入井の坑口ないし注入井内部にマイクロバブル発生装置を設置し、水中にCO2を噴出してCO2マイクロバブル乳状水を作り、貯留層に注入する。水は、帯水層からくみ上げた塩水地下水を用いて、それを地下に再圧入するのが望ましい。塩水地下水に含まれているメタンを回収し、代わりにCO2を混入する。
マイクロバブルを発生させる深度が効率上重要であるが、今後の主要な研究課題の一つである。微細泡(マイクロバブル)の岩石への浸透性については、測定データが少なく、結果にも大きな変動がある。微細泡の径の分布と岩石の間隙径の分布の相互関係が複雑なためであろう。注意深い実験を多数行う必要があるが、岩石の間隙径より微細泡の径が十分に小さければ、マイクロバブル水の浸透性は良いが、間隙径より大きい微細泡が混入すると浸透性が著しく低下すると考えられる。微細泡の径は貯留層になる砂岩等の間隙より小さく、キャップロックとして期待される頁岩層・粘土層等の間隙より大きいことが望ましい。微細泡(マイクロバブル)CO2注入法をすれば、海洋隔離のようなフリーウォーター中でも安定にCO2隔離が
できると考えられるが、多孔質の岩石中では、界面効果などによるマイクロ・トラップ・メカニズムが作用し、「残留ガス」が生じる。残留ガスとして岩石間隙中に留まっている間に、さらに溶解・イオン化・炭酸塩化などの固定メカニズムが進行し、長期安定化すると期待される。微細泡(マイクロバブル)CO2注入法は、残留ガス化から溶解への固定プロセスを促進するほうほうであり、苦鉄質岩などへの地化学固定や微生物固定などの高度固定法を効率的に実現できる地下CO2注入技術である。また、極微細なマイクロバブルの注入により、岩石の微細な間隙の奥にCO2注入が可能であるので、CO2-EOR (原油増進回収法) としても微細泡(マイクロバブル)CO2注入法は有望である。特に、原油増進回収が技術的に難しい水押型の油層に適している。微細泡(マイクロバブル)CO2地中隔離技術は安全性が高く、高度固定化を促進できる可能性を有している。
日本地球惑星科学連合2007年大会 2007年5月19日(土)~24日(木)
幕張メッセ 国際会議場 L217温暖化防止セッション
「地球温暖化防止のための地球惑星科学」 2007年5月23日(水) AM1 9:00-10:30
会場 302号室
マイクロバブルCO2地中隔離法の提案 Microbubble Carbon sequestration into
unconfined aquifers
小出 仁(早稲田大学理工学研究所)
Hitoshi Koide (RISE Waseda University)
Rock stress/Fluid pressure
Depth
Pressure
Extensional fluid fracture zone
Lithostatic stress
Pore fluid pressure in aquifer
Excess pressure at the top of bubble
Pressure gradient in big bubble
Pressure gradient in small bubble
Shear fracture zone
Caprock
大きなCO2バブルの浮力による破壊
Mt. Minakami
Low velocity zone
Left lateral strike-slip fault
High velocity zone
CO2 source
Surface ruptures
Uprising CO2 + brine
Max. horizontal stress
長野市松代におけるCO2+塩水の上昇と、横ズレ断層の割れ目形成と群発地震発生の関係
構造トラップ
吸着 (石炭、
ゼオライト等)
残留ガス (毛細管現象)
溶解 (帯水層)
ハイドレート化 (深海底、 極寒地)
炭酸塩化 (ほぼ永久固定)
イオン化 (岩石風化)
微生物固定 (メタン化、有機物化)
時間
二酸化炭素地中注入
CO2地中固定の深化過程
微細泡注入による促進効果
CO2分散固定技術は、新しい技術概念である。従来のCO2地
中貯留は、大規模集中処理により効率向上を図っているが、その代わりに超臨界状態の高純度CO2を地下に大量貯留するために、住民が安全性に不安を感じ、NIMBYが障害になりやすいという問題がある。(NUMBY:Not Under My Backyard という新語もできている。)
しかし、 CO2は自然にありふれて存在している物質であり、低濃度(0.5%以下)では(温暖化効果を除けば)害が無
いばかりでなく、生命に不可欠な物質である。このため、発想を転換し、 CO2を分散希釈して、リスクの無いCO2処理方法を開発するのが、 CO2分散固定技術開発の目的である。
CO2分散固定技術は、新しい技術であるため、社会的に認知されていない。早急に認知を促進する活動が必要である。このため、
(1)基礎実験(京大、東工大、幌延研で既に実施) (2)アナログ・モデル実験(温暖化防止地球システム) (3)ナチュラル・アナログ(磯部で土壌ガス調査) を、早急に実施したい。 浅部(数十メートル)または中深度(100m−500m)にCO2分散固定を行い、地表
部に湿地造成またはバイオチャー埋設を行い、多重防護をすることも考えられる。
CO2をバイオリアクターにより、炭化水素ガス化し、利用する技術も開発する。
利用技術開発は、社会認知のために効果が大きい。バイオリアクターには、1.光合成微細藻類バイオリアクター、2、嫌気性メタノジェネシス・バイオリアクター がある。
水を圧入する。
CO2圧入
CO2マイクロバブル作成
地下岩石・土中にCO2マイクロバブルを注入、 速やかに溶解ー吸着ー炭酸塩化して半永久固定。
CO2分散固定概念 深度100m−500m程度の中深度をメインにする。
地層、土
粘土、泥炭、バイオチャー
湿地、水田
R. Juanes, E. J. Spiteri, F. M. Orr, Jr., and M. J. Blunt, 2006, Impact of relative permeability hysteresis on geological CO2 storage,WATER RESOURCES RESEARCH, VOL. 42,
Most of the injected CO2 would be immobilized (light blue), trapped as small bubbles (white) in the pore space of the rock (gray). Only a small portion of the CO2 (dark blue) will continue to flow up towards the impermeable layer of caprock (yellow).
2005年3月 二酸化炭素削減等地球環境産業技術研究開発事業 地球環境産業技術に係る先導研究 「堆積盆の地質学的複雑系に依存したCO2 地中溶解(隔離)技術
に関する先導研究」平成16年度成果報告書 (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託先石油資源開発株式会社 2006年3月: 二酸化炭素削減等地球環境産業技術研究開発事業 地球環境産業技術に係る先導研究 「CO2 地中溶解(隔離)技術を応用した地中資源回収技術 に関する先導研究」平成17年度成果報告書 (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託先石油資源開発株式会社
キャップロックの下に溜まったCO2バブ
ルは下方の地下水」(かん水)に溶解すると、 CO2溶
解水は溶解していない水より重いため沈み、対流を起こして、溶解がさらに進行するが、溶解の進行は遅い(シミュレーション、SACSBestPractiseManual,2002)。
純度の高いCO2を地下に大量圧入すると地層中に気体または超臨界流体のバブル
が形成される。岩石のような多孔質体中でも浮力は同じように生じるので、大きなバブルに対しては完全なキャップロックが絶対に必要である。 マイクロバブルは浮力が小さいので、岩石中のマイクロ・トラップにも捕捉され、また急速に溶解するため、キャップロックに頼らなくてもほとんど漏洩しない。
Carbon microbubbles sequestration
Water injection
CO2injection
CO2 microbubbles generation at an adequate depth of injection well
CO2 microbubbles injection into pores
underground rocks
構造トラップ
吸着 (石炭、
ゼオライト等)
残留ガス (毛細管現象)
溶解 (帯水層)
ハイドレート化 (深海底、 極寒地)
炭酸塩化 (ほぼ永久固定)
イオン化 (岩石風化)
微生物固定 (メタン化、有機物化)
時間
二酸化炭素地中注入
CO2地中固定の深化過程
微細泡注入による促進効果
塩 塩
塩 塩 塩 塩塩 塩 塩 塩 C O2塩 塩
C O2
塩
塩 塩 塩
塩 塩
塩
塩 塩 塩塩 塩 塩
塩 塩 塩 塩 塩
塩 塩 塩
塩 塩
塩 塩 塩
塩 塩 塩
塩 塩 塩
C O2塩 塩
C O2
C O2
C O2塩 塩 塩 塩 塩
通常考えられている CO2地中貯留は枯渇油ガス鉱床等のトラップ構造への遊離型CO2地中貯留法であるが、マイクロバブルCO2隔離ー溶解型CO2
地中貯留法を用いれば、上昇力が弱いため、広範囲な地質構造に隔離できる。
遊離型CO2貯留
マイクロバブル 溶解型CO2貯留
深部では高圧のためCO2は超臨界流体または液体、 CO2はマイクロバブル周辺の水に急速溶解し、さらに 微細間隙中で鉱物と反応し、高度固定が進行する。
岩石の微細間隙深部にCO2マイクロ
バブル水を浸透させて、 CO2を急速
に高度固定(毛細管、吸着、溶解、イオン化、炭酸塩化、微生物固定、メタン化)する。
CO2(製錬所等より回収)
鉱山廃水
CO2+鉱山廃水 酸性 低pH
溶脱 pH上昇
溶脱 pH上昇
中和沈殿 中和沈殿 セルフシーリング セルフシーリング
高pH 高pH
苦鉄質(塩基性)岩 苦鉄質(塩基性)岩
鉱山廃水活用CO2地中封入概念図
鉱山廃水+CO2混合注入