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The Japan Society for Studies in Journalism and Mass Communication
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The Japan Soclety for Studles m Journallsm and Mass Communlcat 二 lon
多様化する メ デ ィ ア環境 と政治広告
李 津 娥 (東京女子大学)
1 . 政治と広告
有権者の 政治参加 を促進 し,民主主義 の 理念 を実現 する ため に ,有権 者の 政 治
的行動の 重要な判 断材料 となる政治的情報の あ り方につ い て の 検討 は大変重要な
問題で ある 。 政党や政治家 と直接関わ る機会が限 られて い る有権者が メ デ ィ アか
ら得る政 治情 報は 「政治報道」 と 「政治広 告」に大別で きる 。 メ デ ィ ア に よ っ て
「加工 」「構成 」され,政党や 候補者,政治家の 意図 と必ず し も一
致 しない 政治報
道 に対 し,政治広告 は, 政党や候補者 が 政治 的 ビジ ョ ン や 主張 を有権 者に 直接発
信 し,訴 える こ とが で きる とい う特徴 を持つ (Holtz−Bacha & Kaid・2006 :高瀬 1999)。
個人の 自由な表現 と意見表明が尊重 され る ア メ リ カ にお い て は,個 人の 政治広
告活動 に規制が少な く,長期 に渡る選挙戦 で 大量 の 政治広告が行われて い る 。 有
権者が 充分な政治情報 に基づ い て判断で きる よ うにす る た め に, 政治広告は イメ
ー ジ よ り争点を打 ち出す政治情報で ある必 要が ある とい う考えか ら,そ の 内容 と
表現戦略 に 対 して も多 くの 評価 と分析 が行 われ て きた (Kaid 2006)。 有権 者 は ,
候補者 の 公約 や 政策,政治的 ビジ ョ ン に 関す る 情報を,選挙情勢 や 候補 者 の 勝 ち
負けな どに 焦点が 当て られる政 治 「報 道」よ り,争点をめ ぐる候 補者 間の 攻防や
政治 的主張が 打ち出され る政治 「広告」 か ら得て い る傾 向 も指摘 されて い る (West
l997)。 しか し, 選挙の た び に.対 立候補 に対す る一
方的攻撃な ど,過剰 なネガ
テ ィ ブキ ャ ン ペ ーンが 繰 り広げ られ
,有権者 の 政治的 シ ニ シズ ム や 政治に 関す る
ネ ガテ ィ ブな態度 を助 長 して い る とい う批判 も強い 。
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ア メ リ カ で は 政党や 候 補者だ けで な く,企業や 団体な ど も政 治資金管理 団体 と
して PAC (Political Action Committee)を設立 して 個人 献金 を集 め支持 候補をサ ポ
ートす る 広 告や 対立候補 を攻 撃す る 広 告を 出稿 して きた 。 2010 年に は 献金 額 の
ヒ限が撤廃 され,2012年の 大統 領選 で はこ の Super PAC の 資金 力 で 政治広告が
大量 に投入 され ,選挙 キ ャ ン ペ ーン へ の 影響力 を増 して い る (ABC news )。 ピ ュ
ー財 団の 調査に よれ ば 同年の 選挙で オ ン ラ イ ン政 治広告 へ の 接触率は選挙権 を
Cl
持つ ネ ッ トユ ーザ ーの 36% に上 っ た (Pew Research Center)。
一方,選挙期 間が 短 く,選挙運動 の 公正 と選挙公営を 目的に 公 職選挙法に よ っ
て 選挙運動を規制 して きた 日本で は政治報道が よ り重 要 な政治情 報源 とな っ て お
り,政治 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 研究領域 に おい て も政治広告はそ れ ほ ど注 目され て
こ なか っ た 。 日本に お い て 政治的情報 として政治広告の 役割が 制 限 されて きたの
は制 度的要因に加え, 有権者の 政治的 シ ニ シ ズ ム や広告 自体 に 対す る不信感も大
きい と指摘 され て い る (河村 2001)。 しか し, 日本で も各時代 の メ デ ィ ア 発達 を
背景に ,政治広告を通 して 政党 や候補者,政治家の 政 治的主張や ビジ ョ ン を有権 [z /,
者 に 向けて 発信 し, 人 々 の 政治意識 と行動 に一
定 の 影響 を及 ぼ して きた 。
イン タ ーネ ッ トを利用 した 選挙運動 が解 禁 され た 2013年 参議 院議員選挙で 政
治広告は新た な局面 を迎 え, 新 しい 選挙キ ャ ン ペ ー ン 手法 と有権者 の 投票行 動 に
対 す る影響が注 目された 。 しか し,投票の際 イ ン ターネ ッ トの 情報 を参考 に し
た と答 えた人 は わずか 10.2% に と ど まる な ど (『産経新 聞』2013年 7 月 22冒), そ
の 結果は期待はずれ だ っ た 。 しか しなが ら,今後 日本 の 政 治過程 にお ける政 治 コ
ミュ ニ ケ ーシ ョ ン の あ り方 を考える うえで 重要 な転換点 とな っ た こ とは勿論で あ
る 。 本稿 で は選挙 や 日常時 の 政治情報の 持つ 広告性 ・宣伝性 に注 目し, こ れ まで
日本の 政治過程 で 政治広告が果 た して きた役割を踏 まえ,多様化 す る メ デ ィ ア環
境 にお ける 政治広告の あ り方 に つ い て検討す る こ ととす る 。
2 . 日本に お け る政治広告の 概史
こ こ で は李 (2011)の 政 治広告史の 時期 区分 に基 づ い て 各時期 の 政治広告の 特
徴 に つ い て 検 討す る 。 まず第 1期 「政治広告生成期」(1881〜1924年)は ,明治政
府へ の 対 向勢力 と して台頭 して きた各政党が ,機関紙 の 記事 と広告 の 両方で 大々
的 なプ ロ パ ガ ン ダ活動 を展 開 した時期 で あ る (山本 ・津 金澤 1992)。 こ の 時期の
政治広告 の 形態 は,政党 ・政治家 の 演 説会 や 集会 ,結党な どの 「告知」広告,候
26 マ ス ・コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン研究 No.85 2014
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補者 「推薦」広告,政治的主張や対立 政党へ の 批 判 な どの 「政見」広告へ と多様
化 して い っ た (山本 1972)。
第 2期 「政 治広 告稼働 期」(1925年 〜終戦)は t 普通選挙導入 に よる有権者 の 増
加で 政治広告は不偏不党新聞へ 拡 大 し, 当時の 立憲政 友会 と立憲民政 党を中心 と
した 大量 の 選挙 ポ ス ター,新 聞全 面広 告、対立 政党 に 対 す る ネガ テ ィ ブ キ ャ ン ペ
ー ン な ど,選 挙 戦が 激化 した時期 で ある (山本 1972 ;梅田 2001)。 しか し,第
1回普通選挙で 選挙権 を獲得 した有権 者 の 関心 は予想外 に薄 く(玉 井 2006),そ
の 後 選挙費用 の 節滅の た め 「選挙公報」が導 入 され,発行区域に お ける候補者
新聞広告は禁止 され たが,実際の 目的は 政党政治統制 とされ , その 後の 選挙にお
い て 政治広告 を始め とする政党の 政治活動 へ の 統制 は更 に強 ま っ て い く (山本
1972)。
新 聞 とポ ス ター な どの 印刷 メ デ ィ ア を中心 と したプ ロ パ ガ ン ダ的政治広告が展
開 され て い た 戦前 に対 し,戦後 は 放送 が発達す る に つ れ て イ メ ージ選挙 の 様相が
強 くな っ て い く。 第 3 期 「政治 広告 復興期 」(1945〜1968年)で は,戦 後初 め て実
施 された 第 22回衆議院議員選挙で 有権者は 20歳以上 の 男女に拡大 され,一 連の
選挙法改正 で 政党の 宣伝活動 も本格化す る 。 1960 年に 自民党が 総選挙向けに展
開 した 日本初 の 政党 CM は 池田内閣 の 経済政策 を印象づ け る 選挙 キ ャ ン ペ ー ン
とな っ た (内川 1980;高瀬 2005)。 そ の 後 都市部へ の 人 ロ 集中 と無党派層 の
拡大,印刷 技術 と放送, PR 手法の 発達 , ア メ リカ の 選挙 キ ャ ン ペ ー ン 戦 略な ど
の 影響 に よ り, 1967 年東京都知事選挙,1968年 参議 院議員 選挙 は有名人 の 立候
補 と華 や か な選挙 戦略で イ メージ選挙の 幕 開け とな っ た (大前 1977)。
第 4期 「政治広 告発展期 」(1969〜1993年)にお い て は,1969年の 衆議 院議員 選
挙で 自民 党を始め とする各政 党が ,前 年度の ア メ リカ大統領選挙の イメ ージ ・キ
ャ ン ペ ーン手法を導入 し (河村 2001 :Tak 2006), 大々 的な広告合戦 を繰 り広げ,
政見放送が導入 され る な ど,選挙キ ャ ン ペ ーン の 「広告性」 と 「イ メージ性」は
更 に 強 ま っ て い っ た (内川 1980)。 こ の 選 挙 で は 関東 地 区の み で 900本以 上 の
CM が放送 され , 自民党 と公 明党の 出稿が最 も多く, なかで も自民党の TV 広告
が視 聴率 の 高 い 時間帯 に集 中する な ど (内川 1980)T 資金 力の ある 政 党が 優位 な
選挙 キ ャ ン ペ ー ン を展開 した 。 1970年代 以 降は ,一連の 政 治ス キ ャ ン ダル で 自
民党政権 が 流動化 し,消費税 導入が争点 と な っ た 1989 年参議院議員選挙で 当時
の 土 井た か 子委員長が 率い る社会 党 の 女性候補者 が,政治家 として の 清潔さ と女
性 と して の 生 活感覚 をア ピール しい わゆ る 「マ ドン ナ ブー
ム 」 を巻 き起 こ して 躍
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進 した (大 山 ・国広 2010)。 さ らに ,1992年参議院議員 選挙 と 1993 年衆 議 院議
員選挙で は 自民 党 の 度重 なる政 治ス キ ャ ン ダ ル を背景 に 新 党 ブ ーム が起 こ る (川
一E 1998)な ど,既成政治 に対向する主張が 有権者に ア ピール した 。
第 5 期 「政 治広 告変革期」(1994年〜)は , 自民 党 の 55年 体制 が終 焉 し,1994
年の 公職選挙法改正 で 衆議院議員選挙 に中選挙 区制 か ら小 選挙 区比例代表並立 制
が 導入 され,政党広告の 出稿が急増 し.政見放送 にお い て ビデ オの 自主制作が 認
め られ る な ど, イ メー ジ選挙の 様相が さらに強 くな っ て い っ た 時期で ある 。 中選
挙区制で は. 同一
選挙 区で 同 一政 党が 複数候補 を擁立 しなければ な らない ため ,
政 党イ メージ を ア ピー
ル する 政治広告 よ り, 選挙地盤や 後援会組織 な どが よ り重
要 な意味 を持 っ て い た (川 上 2008)。 小 選挙区制 の 導入 で 政党本 位の 選挙 とな り,
さ ら に選挙期間の 短縮 や無党 派層の 拡大を背景に 政党イ メー ジ を ア ピール す る政
治広告の 出稿 が 相次 ぎ, と りわ け資金力の ある政党の 広告費支出の 増加に対 し,
批 判が集 ま っ た 。 またテ レ ビ へ の 広告 出稿が 年々 増加 し, 1998 年 参議 院議員 選
挙 で は新 聞広告 費が 7 割以上 だ っ た の に 対 し,2001 年 参議 院議 員 選挙 で は TV
広告 費が 6 割 を超 えた (『朝 日新 聞』 2001年 ll月 3 日)。 こ の 時期 の 政 治広 告は 党
首 イ メージ を前 面 に打 ち出す もの が 大半を 占め た 。 2003 年衆議 院議 員選 挙で 導
入 され た マ ニ フ ェ ス トも選挙情報の 拡大 と注 目され た が , その 膨 大な 「情報」 内
容が 有権者の 判 断材料 と なる よ り, メ デ ィ ア の 比較 ・検証報道や 政党の ビ ラ な ど
で 形成 さ れ る 「イ メージ 」 の 影響 が大 きい と指摘 さ れ て い る (PHP 総合研 究所
2005)。 さらに第5 期は, 内閣メ ール マ ガジン ,政党ホーム ペ ージ ,政治家プ ロ グ,
動画 共有サ イ トの 政党チ ャ ン ネル ,政党や 政治家の ソー
シ ャ ル メ デ ィ ア利用 な ど,
イ ン ター
ネッ トが新 しい 政 治情報源と して 注 目 され始め た 時期で ある 。 ホ ーム ペ
ー ジや プ ロ グ な どを 日常時に 政治活動の一
環 と して 利用 す る こ とは認 め られて い
た が, 選 挙期 間 中の 新 設 や 更新は 禁止 され ,各界 の 議論 を呼 ん だが ,2013 年 衆
議 院議員選 挙 におい て よ うや くイ ン ター
ネ ッ ト選挙解禁 を迎 え る 。
3 . 新聞と TV の 政治広告 に お ける争点提示 とイ メ ー ジ構築
それ で は, こ れ まで各政党は,政治広告で どの よ うな争点を打ち出 し,政党イ
メー
ジ を如何に ア ピール して きた の だろ うか 。 上述 した 政治広告史の 時期区分の
うち, 第4 期 「政治広告発展期」 と第 5期 「政治広告変革期」を中心 と した 政治
広告の 内容分析, さ らに 1960年以 降の 主要 国政選挙 と近年の 政 治変容期 に お け
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る政治広告事例 よ り,政 党の 「争点」提示 戦略 と 「イメージ 」構 築戦略 を検討す
る 。
3 − 1 政 治広 告の 内容分析
まず ,1965年 か ら 2007年 まで の 衆参 院選選挙期 間 中に朝 日新聞 に掲 載 された
政党広告 576件 を対象 と した 分析 (李 2011)か ら,各政 党は有権者に改革 を訴 え,
未来や 希望 を語 り,経済 ・福祉な どの 身近 な暮 ら しの 問題 をア ピール して きた こ
とが確認 され た 。 具体的 にみ る と,政 党に関係 な く,改革 ・未来志 向 (38.4% )と
関連す る言及が最 も多 く,次い で 経済 (23.3% ), 福祉 関連 (17.2%)で あ っ た 。 年
代別 に は改革 ・未 来志 向 と福 祉 関連が増加傾 向 を見せて お り, 政党別 に は 自民党
が安心 ・ゆ と り, これ まで の 成果や業績 な どを, 日本共産党 は憲法問題 を言及す
る もの が多か っ た。 自民党の 場合は,全体的 には長期執権与党 と して の 政権担当
能力 や 安心 感 愛 国心 な どに訴 える 表現 を 多用 し,55 年体 制が 流 動化 した 時期
は政治改革や 新 しい 自民党 をア ピール す る イ メ
ー ジ戦略 を展 開 して い た 。
ネガ テ ィ ブ表現が含 まれて い る広告 は全 体の 27.3% で 明示 的 ネガ テ ィ ブ表現を
含 む広告 は全体の 7.8% で あ っ た 。 他政 党や 党首,党関係 者の 直接 的言 及 に よ る
明示 的ネ ガ テ ィ ブ表現 よ り,不祥事の 言及,政策 や争 点,社 会 的諸問題 に対する
批判に よ っ て 他政党や党首,党関係者を連想 させ る暗示 的ネガ テ ィ ブ表現が 多か
っ た (李 2007;2011)。 そ の 内容 をみ る と, 1970 年 代 と 1980年代 は 自民党の 政
治腐敗 や 金権政治 に対する批 判, と りわ け 1980 年代 は 自民党 の 政治 ス キ ャ ン ダ
ル や 消費税 をめ ぐる攻防, 1990年代は 具体的政策批判 を伴わ ない 野 党 の 反 自民
的姿勢 に徹 した批判 ,2000年代は小 泉改革な どの 自民党政 策 に 対す る批 判 な ど,
各年代 の 政治情勢が 色濃 く反映され て い た 。
TV 政 党広告は 選挙運動の 方法 と して は認 め られて い な い が ,1990年代後半,
当時の 自治省 の 判 断か ら選挙期 間中で あっ て も政治活動 の一
環 と して 認め られて
い る (川上 2002)。 選挙期 間中 に公 費で 出稿で きる新聞政 党広告 に対 し,TV 政
党広告は 日常の 政治活動 と して 出稿 され て い る が ,実際 は選挙期間中 に放 送が 集
中 して お り,選挙期 間以外 に も次 回選挙向けに 出稿 され る こ とが多い 。 しか し,
投票 日当 日の 放送 は民放各局が 自粛 して い る 。 新聞の 場合 は最後 の 呼びか け とし
て 投 票日当 日に出稿する こ とが 多い が , 選挙広告 で はな く,政党費に よ る政 治広
告 で あ る 。 そ れ で は,第 5期 「政治広 告変革期」 を中心 に ,1989年か ら 2008年
まで 関東民放 5 局 で放送 され た 政党広 告 222本 (ビデ オ リサ ーチ社収 録)を対象 と
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した 分析 (李 2011)か ら,TV 政党広 告にお け る争点提示 と イメ ー ジ構 築 ,訴求
戦 略 な どに つ い て 検討す る 。
まず TV 政党広告 の 訴 求戦略 と して は ,資質,誠実 さ,信頼性 な どの 党 首や 政
党の イ メージ をア ピー
ル する信頼性 ア ピー ル が 743% で ,愛 国心,怒 り, 自負心
の よ うな感情 を喚起す る言語 や イ メ ージ に よ る感情的ア ピール は 477% を占め て
い た 反面 ,論理 的証拠 ,事実情報 と例 ,統計的デ ー タ に よ る論理 的 ア ピー ル は
23% と少なか っ た 。 政党別 に は, 自民党 が,執権与党 と して の 安心 感や愛 国心 な
どを訴 える信頼性 ア ピ ール と感情 的ア ピール を用 い る傾 向が あ っ た 。 ネガテ ィ ブ
表現が 含 まれて い る広告 は全体 の 21.6% で明示的ネガ テ ィ ブ表現が含 まれて い る
広告は全体の 1.8% と新聞 よ り少なか っ た 。 また非 自民の 広告 に おい て は争点が ,
自民 の 場合 は イ メー ジが 強調 され る傾 向が あ っ た 。 争点 と して は ,医療
・福 祉 関
連 (22.5% )が 最 も多 く取 り上 げ られ ,次い で 改 革 (18%),経 済 ・財政 (17.6% ),
税金 (13.5%),教育 ・子育て (9 % ),雇用 (5.4%),憲法 (5 % ),環境 (3.6%)の 順
で 提示 されて い た 。 政 党別 に み る と, 自民党は改革,非 自民 は税 金 と雇用 関連が
多 く,非自民が よ り身近な生 活 の 問題 を取 り上 げて きた と い え る 。 年代別 に は ,
1990年代は経 済 ・財 政 , 税 金 関連が ,2000年代 は 年金, 医療 な どの 社会 保障 関
連の 問題が よ りクロ ーズ ァ ッ プ され て い た 。
さ らに こ れ ら TV 政党広告 の 特徴 に基づ い て ク ラス ター
分析 を実施 し,「福祉
中心 の 争点広告」「改革 ・未来志 向ア ピール の イ メー ジ広 告」「経済中心 の 争点広
告」の 3 つ の 類 型 を抽 出 した 。 「福祉 中心 の 争点広告 」で は イ メー ジ よ り争点 を
打 ち出 して い る場合 が多く,「経済中心 の 争点広告」 にお い て も争点が強調 され ,
ネガ テ ィ ブ表現 が含 まれ て い る広告が 多か っ た 。 それ に 対 し 「改革 ・未来志 向 ア
ピール の イメ
ー ジ広 告」で は党首が 出演 し,改 革や 未来 を語 り,愛国心 に ア ピー
ル す る もの が多か っ た 。 政党別 にみ る と,非 自民 は 「経済 中心 の 争点広告」が 多
く,税 金や景気,雇用 な どの 経済問題 に焦点 を当て , 自民党 を批判す るネガテ ィ
ブ キ ャ ン ペ ー ン を展 開 して きたの に対 し,執権与党 と して 優位に 立 っ て きた 自民
党は首相 を前面 に出 し,改革 や未来,安心感 と愛国心 をア ピール する 「改革 ・未
来志向ア ピー ル の イメ ージ広告」 で 有権者に訴えて きた こ とが確 認 され た 。
そ して 新聞 と TV の 政 党広 告両 方と も,党の 顔 と して 党首 を前面に 出す傾向が
あ り,そ の登場率 は年代 とと もに増加 して い た 。 政党広告へ の 政治家の 登場は選
挙前選挙運動 に 抵触する 可 能性が ある が, TV 政党広告へ の 党首 の 出演 は例 外 と
する 日本 民間放送連盟の 基準や 総務省の判 断 (『読売新聞』2010年 7月 3 日),選挙
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制 度改正 に よ り政党本位 の 選挙 と な っ た こ とに起 因す る と こ ろ も大 きい 。
3 − 2 政 治広 告の 主 要選挙別分 析 :1960年か ら 2005年 まで の 国政選
挙 と政治広告
こ こ で は 1960 年代以 降の 政 治広告 の 事 例 を中心 に, 政治広告 の 特徴 を検 討す
る こ とにす る。 まず,前述 した よ うに 1960年衆議院議員 選挙 向け に 出稿 された
自民 党の 広 告で ,「所得 倍増計 画」 を訴 えて い た 当時の 池 田勇 人総理 が 「経 済の
こ とは池 田 に お 任せ くだ さい 」「私 は ウ ソ を申 しませ ん 」 と 自民 党の 経 済成 長政
策を効果的 に 印象づ けた (高瀬 2005)。 こ の 時期の 政治広告 は高度経済成 長期 の
未 来志 向的 イ メージ ・キ ャ ン ペ ー
ンが 大半 を占めて い たが, 1968年の 参議 院議
員選挙 で 大 々 的 な選挙 キ ャ ン ペ ーン を展 開 した 日本社会党 は,若 い 女性 の 涙 目に
キ ノ コ 雲が 映る広告 「涙」編な ど, 有権者の 不安や恐怖感 を煽 る リス ク ・ア ピー
ル の 広告 を展開 した 。 しか し, こ うした 政治広告 は む しろ 有権者 の 反感 を買 い ,
日本社会党の イ メー ジ ・キ ャ ペ ー
ン は失敗 に 終わ っ た (河村 2001 ;大前 1977)。
1989 年の 参議院議員選挙 は 当時の 土 井 た か子委員 長率 い る 日本社 会党の 女性
候 補が 自民党の 政治ス キ ャ ン ダル を背景 に躍進 した選挙 で あ っ た 。 「あ なた の 答
えが, 日本 を変 えます (作 ります)。 激 サ イテ ィ ン グ社会党」シ リ
ーズ で は ,政治
腐敗 と消費税問題 , 年金問題 を 「政治が お 金で動い て い ます」「消費税は や め る
べ きだ と私 た ち は考え ます」 「今働 き盛 りの あ なた の 5 年 分 の 年 金が カ ッ トされ
よ うと して い ます」 と批 判 し,「こ れ に YES で す か , NO で すか 」 と問い か けた 。
自民党は 「しっ か りしろ , 自民党。 分か りました 。 しっ か りや ります 。 が ん ばれ 。
必 ずや ります」 と政治改革に対する姿勢や, 「自由を守 っ て 34年 」 と富士 山や 豊
か な 日本の 自然な どの 映像で 執権与党 と して の 安心 感 をア ピール したが, 自民党
に 対す る 不信感 を払拭 す る こ とはで きなか っ た 。
1990年代 は 55年 体制の 流 動化 ,選挙制 度改正,無党 派層 の 拡大 な どを背景 に
政 治広告が 注 目され た 時期 で あ る 。 消費税 引 き上 げが 争点 と な っ た 1996年衆議
院議員選挙で 自民党 は 当時の 橋本 龍太郎首相 が 「JAPAN DREAM 」「Open.新
しい 自民 党」 と政治改革に取 り組む オー プ ン な 自民 党の イ メージや , 国民 に夢 と
希望 を与 え るポ ジ テ ィ ブ な イメー ジ広 告を展 開 した 。 それ に対 し,新進党は 自社
連立 政権の 消費税政策を 「国民搾 り」 と攻撃 し 「消 費税 5 % STOP 」 を訴えた 。
こ の ネガ テ ィ ブ広 告 に対 し, ポ ジ テ ィ ブなイメー
ジ ・キ ャ ン ペ ーン に徹 して い た
自民党 は 「7 %増税 を提案 した細川 さん ,10%増税論の 小沢 さん ,15%増税論 の
多様化する メ デ ィ ア環境 と政治広告 31
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羽 田 さ ん 。 新 進党 は 本当 は何 % で す か 」 と反撃 し,「政 策 をな らべ るだ けな ら,
だれ で もで きます 。 問題 は 実現 で きる か ど うか 。 」 と 自民党 の 実行力 を訴え, 自
民党 と新進党に よ る広 告合 戦 は メデ ィ アで も大 きく取 り トげ られ た 。 川上 (1998)
は同選挙期 間中の TV 報 道 の 143 %,新 聞報 道の 7.1% で 政治広告 ・政 党放送が
取 りヒげ られ , 自民党 と新進 党の ネガ テ ィ ブ広 告な ど に つ い て か な りの 紙面 を割
い た報道 も多か っ た こ とを確認 して い る 。 また こ れ らの ネガ テ ィ ブ広告へ の 接触
率や 印象に残 っ た 割合 も高 く (川 上 1998 ; 稲葉 2001),有権者 の 反響を呼ん だ 。
しか し,近年の 政治広告 に 関す る報 道 の 多 くは ,主 要政 党が 中心 で ,広 告で 打 ち
出 して い る争点 よ り面 白さや ユ ニ ー ク さに 注 目す る傾 向が あ り(李 2008 ;201/),
政治的 シ ニ シズ ム を助長 させ る可能性が ある 。
2001年の参 議 院議 員選挙,2003年 の 衆議院議員 選挙で 政治広告の 出稿は さ ら
に増加 し, 当時 の小沢一
郎党首が叩か れて も前進する広告や 旧体制の ロ ボ ッ トに
立 ち向か う自由党 の 広 告 (2001年参院選向け),神崎武法代表が 「そ れ は イ カ ン ザ
キ 」 とア ピール した公 明党の 広告 (2001年参院選 向け)T土 井た か 子委員 長が 駄菓
子屋 の 店主 に扮 し憲法 9 条 を絶 対 「変 え させ な い 」 と主張 した 日本社会 党の 広告
(2001年参院選 向け),扇千景 党首が 医師 に 扮 し 「保守 ピ タル , 日本の 政治 を健 康
に し ます 」 と訴 えた保守党 の 広告 (2001年参院選向け)など, 当時 の 党首 た ちが 繰
り広 げた広告戦 に 注 目が集まっ た 。 小泉純一郎前総理が出演する 自民党の TV 広
告は ,「小 泉 ブー
ム 」 を背景 に 「小泉だ けの 挑戦で は あ りませ ん」(2001年参院選
向 け),「こ ん に ち は小 泉 で す」 「小 泉 はや ります 」(2003年衆 院選 向け)と 「小 泉
CM 」化 した 。 2001年参議院議員選挙向け に 出稿 された社民党の 「本当に怖い こ
とは ,最初 ,人気者の 顔 を して や っ て くる 」 とい う TV 広告 は小 泉人気 を牽制 し
た もの で あ っ た が , 日本民問放送連盟 の 放 送基準で 定め る 中傷に 当た る として 多
くの 放送 局が 放送 を拒 否 した (朝 日新聞 2001年 7 月 14 日)。 同様 に,2001 年 参議
院議 員選挙 向けの 民主 党 の TV 広告 「公 共事業」編 は 「向 こ うに は減 らせ ない わ
けが ある んだ よ」 とい う内容が 中傷 的表現だ として 日本テ レビが放 送 を拒ん だ (『朝
日新聞』2001年 7 月 14 日)。 政治報道 に お い て は対立 政党や 候補者 に対する批 判
は問題 な く放送 されて い る の に対 し,政治広告 にお け る政党の 主張に は異な る基
準が適用 され (高瀬 2005),政 治広 告にお け る 表現 の 自由 と争点形成力 が 制限 さ
れ て い る こ とは 問題 で ある 。
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シ ョ ン研究 No .85 2014
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3 − 3 政 治変容 期 の 政 治広 告 :2007年か ら 2012年 ま で の 国 政 選 挙 と
政治広告
次に民主党の 政権交代 と自民党の 政権復帰 と目ま ぐる しい 近年の 政治変容期 に
お ける 政治広告 に つ い て 検討す る こ とに する 。
まず 年金問題 が最大争 点 とな り民主 党が 圧 勝 した 2007年参議院議員選挙の 政
治広 告 に つ い て, 李 (2008 ;2011)の 分析 に基づ い て検討する 。 政 治広 告の 出稿量
におい て も民主党が 自民党 よ り多 く (r読売新聞』2007年 8月 8 日),年金問題の 影
響で こ れ まで の 異色 の 型破 りな広告 よ り正統 派の 広告, イメージ よ り論理的手法
の 争点広告が展 開 されて い た 。 自民 党は 「改革実行力」厂成長か逆行か 」「成長 を
実感に」な ど,執権 与党 と しての こ れ まで の 業績 を前 面 に 出 し,民主党 を牽制 し
た 。 民主党 は年金問題の 追求 に加 え,「格差是 正」「生活維新」 な どの キ ャ ッ チ フ
レーズ や国民各階各層の 生 活苦な ど を描 い た 映像で 自公政 権に対する批判 を展開
した 。
次に,2009年衆議院議員選挙,2010年参議 院議員選挙の 政治広告 に つ い て李
(2011)に基 づ い て検討す る 。 民主 党が政権 交代 を果 た した 2009年 衆議 院議員選
挙で は政治広告や選 挙戦 も急激 な変化 を経験 した 。 日本 と国民 の 生活 を 「守る ⊥
「責任力」 とア ピール した 自公政権に対 し,民主党は 「あなた の 手で ,政権交代」
と政権交代 を意識 した広告 を展 開 した 。 年金問題 に 端 を発 し. 民主党 に 追 い 込 ま
れた 自民 党は , マ ス・
メ デ ィ ア広告 に おい て は 「日本 に 宣言」 シ リーズ で 「確か
な政策が ある ,確 か な根拠が あ る」 と従 来通 り,長期 間政権 を担 っ て きた与党 と
して の安心感 ,業績 な どをア ピール す るポ ジテ ィ ブ広告 を出稿 したが, オ ン ラ イ
ン で は ネガ テ ィ ブキ ャ ン ペー
ン を展 開 し,対 照的 で あ っ た 。 当時, イ ン ター
ネ ッ
ト選挙運動 は禁止 されて い たが,各政党は, イ ン ターネ ッ トの 政党広 告や 動画 は
選挙運動 に あた らない 政治活動の一
環とい う名 目で 公示後 も公 開 し続 けた 。 自民
党は 「政権交代 。 本当に こ ん な こ と して 「政権後退』。 こ ん な こ とに な っ て しま
っ て 『景気後退』」(「回復 を止 め な い 」編 )と民主党 を攻撃 し, そ の 攻撃性は 投票
日が 近づ くほ ど増 して い っ た 。 ア ニ メー
シ ョ ンで 制作 され た 3編 の 広告で は,民
主 党の 鳩 山由紀 夫氏似 の 男性 の 「根拠 の ない 自信 」 を攻 撃 し (「プ ロ ポーズ」編 ),
そ の続編 の 「ラーメ ン」編で はお 客 の注 文や 要望 に合 わせ て政 策を変 えてい く展
開 とな っ て い る 。 「プ レ る男 た ち」編 で は 「と も言 えない 」 とす ぐ態度 を変 えて
しま う民主党の 主要 4 役の 「ブ レ フ ォーに 日本の 明日 を任せ られ ますか」 と批 判
した 。 投票 日当 日の 主要新聞 に 自民 党は 支持 率が 急落 した麻生 太郎総裁 の 代 わ り
多様化す るメ デ ィ ア環境 と政治広告 33
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に 日の 丸 を背景 と した 広告 「日本 を壊す な 。 」,民主党 は鳩山 由紀 夫代表を前面 に
出 した広告 「本 日,政 権交代。 」を出稿 し,最後の 訴えを行 っ た 。
政権交 代後の 初 の 選挙で 民主党政権の 中間評価 とな っ た 2010年参議院議員選
挙 は,消費税増税 ,普天 間基地移設問題 財 政再 建な どが 主要争点とな っ た 。 民
主党は 「民 力結集」編T 「元気 な 日本」編 とポ ジ テ ィ ブ な広 告 を展 開 し,新聞広
告で は 「政権交代 に よ り動 き出 して い る改 革」「国民 と政権 を つ くる」 と政権 交
代 の 意 義を訴 えたが,消 費税増税 な どの 民主党 の 政策案 に対 し 「民 主党政権の 迷
走」(公 明党),「消 費税増税ス ト ッ プ」(共 産党 )な ど と野 党の 批判 が 集 ま り,民主
党惨敗 の 原 因 とな っ た 。 自民 党 は,当時の 谷垣禎一
総裁が 出演 した 「い ち ばん 」
編 で 「もの づ くり,教育 ,長生 き,元 々 , 日本 は い ちば んの 国 。
… また世 界で一
番幸せ な国に なる た めに 」 と日本人の 誇 りと愛国心 に訴 え,前回 の 選挙 に 引 き続
き 「日本 を守 る責任」 をア ピール した 。
自民党が 政権復帰を果 た した 2012年衆議院議員選挙の 広告で は, 自民党総裁
選 に も使 われ たス ロ ーガ ン 「取 り戻 す」を使用 し, 「日本を,取 り戻す 。 」と政権
奪還 をア ピール した (『東京新 聞』2012年 12月 19 日)。 安倍晋三 総 裁 は 「世 界 を リ
ー ドす る技術 力 を持 ち,豊 か な教育 を受 け,誰 もが 安心 して 生活で きる 。 そ れ が
本 来の 日本の 姿で す 。 」 と訴 えた 。 「経 済 教育,安心, 日本 を取 り戻 す」 とア ピ
ール した 自民党 の 戦略 と,震 災後の 日本再建 を切願 し政治 に 安 定 を求め ,長期 自
民 党政権 で 経済 も好調 だ っ た 「あの 時代」 に戻 りた い とい う有権 者の 願望が合致
したの と 同時 に,取 り戻 され るべ き現在が あ り,そ の よ うな状 況 をつ くっ たの は
民 主党 とい う民主党批判 が隠 され,すで に強 くな っ て い た民主 党不信 を拡大 させ
る 選挙キ ャ ペー
ン とな っ た (『東京新聞』 2012年 12月 19 日。 同紙 の 筆者 イ ン タ ビ ュ
ーよ り)。 「取 り戻 す」 とい うキ ャ ン ペ ー ン を主力に した 自民 党 に対 し,民主党 は
総選挙 向 けに多数 の 広告 を制作 し,当時の 野 田佳彦総理が 出演 した 「動 かす の は
決 断 ・胸 を張 っ て 」編, 「動 かす の は決断 ・総理 の 経験」編 ,「医療立 て 直 し」編 ,
「高校無償化」編 「今 と未来 に誠実で あ りたい 」編 で こ れ まで 進ん で きた政策や
今後の 政 策を取 り上 げ,「今 と未来 へ の 責任 。 」 と訴 えた 。 その うち , 「動 か すの
は 決断 ・胸 を張 っ て」編 で は 「失われ た 20年 は決め られなか っ た 20年」 と自民
党政権時代 を批判 し,「今と未来 に誠 実で あ りた い 」編 は 「あの 時代」 をよ り鮮
明に連想 させ る広告で あ っ たが ,民 主党政権 に 失望 して い た有権者の 心 に は響か
なか っ た 。
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4 . イ ン ターネ ッ ト空間 に お け る政治広告 :
2013年参議院議員選挙 とオン ラ イ ン政治広告
2013 年 は,2012年の 総選挙 で 自民 党が 政権 に復帰 し, そ の 中間評価 と な っ た
参議 院議員 選挙が 実施 され た 。 また 長年の 懸案だ っ た イ ン ター ネ ッ トを利用 した
選挙 運動が 公職選挙法改正 で 解禁され, イ ン ターネ ッ ト選挙元年 とな っ た 。 ア メ
リカ や 韓国 な どで は い ち早 くイン ター
ネ ッ トを利用 した選挙 キ ャ ン ペ ーン が行 わ
れ , ア メ リ カ の場合 ,2000年 大 統 領 選挙 の 選 挙 キ ャ ン ペ ー ン で バ ナ ー 広 告 ,
2004年大統領選挙 で は オ ン ラ イ ン 政治広告の 主流 とな っ て きて い る検索 エ ン ジ
ン広告 とターゲ テ ィ ン グ広告な どが展 開 された 。 2008年大統領選挙で はバ ラ ク ・
オバ マ 陣営が ソー シ ャ ル メ デ ィ ア とデ ジ タル マ
ーケテ ィ ン グ を駆使 して支 持層 を
拡大 し,2012年の 大統領 選挙で は ユ ーザ ーの 行動履歴 デ ー タ を利 用 しタ
ーゲ ッ
トを絞 っ た広告配信が 多 く行 わ れた (Barnard & Kreiss 2013)。
多 くの 有権者の 支持 を獲得 した 2008 年 ア メ リカ大統領選挙の キ ャ ン ペ ー ン に
対 し,2012年の 選挙 キ ャ ン ペ ー ン で は
, 有権者 の 否定 的な態 度が 目立 っ た 。
{4 )
Turow, Carpini, Draper& Howard −Williams(2012)1:よれ ば,支持政党や 政治 的
志向に 関係な く調査対 象者 の 86%が 行動 デー タ を利用 し自分の 関心 に応 じた タ
ーゲテ ィ ン グ政治広告が配信 され る こ とに 否定的な態度を示 し, フ ェ イス ブ ッ ク
の 個 人 情報を利 用 した広告 配信 に対 して も全 体の 85% が 否定的に 評価 して い た 。
さ らに ,全体の 64%が ,支持候 補が オ ン ラ イ ン 行動デ ー タ を購入 し ターゲ ッ ト
に応 じた政治的メ ッ セ ージ を配信 して い る こ とが 分 か っ た 場合, そ の 候補 に投 票
する可能性 は減少す る と答 え,有権者の 強い 懸念 と不 信感が 浮 き彫 りとな っ た 。
一
方, 日本で は政 党本位 の 選挙 キャ ン ペ ーン と な っ て お り,選挙期間中 で あ っ
て も政治活動 の一
環 と して 出稿が認め られ たバ ナ ー広告 (公 職選挙法 142条 の 6 第
4 項)も政党 の み 出稿 で き,上 限額 もな い の に対 し,候補者 個 人の 広告 は 禁止 さ
れ た た め,無所属 の 候 補個人が バ ナー広告 を行 うこ とはで きな い と い う不 平等が
生 じた (公職選挙法 142条の 6 第 1項 か ら3項 )。 イ ン タ ーネ ッ ト選挙解 禁で ,各政
党はオ ン ライ ン 政治広告 な どで 有権者 を政党ホー ム ペ ージへ 誘導 し,政党所属候 (5)
補者の紹介 と投票の 呼びか け を行 っ た 。 また, 自民党を中心に 資金力の ある政党
の オ ン ラ イ ン 政治広告の 出稿 が 相 次い だ。2013年 7 月 1 日〜21 日 まで の 各政 党
の 公式ホ ーム ペ ー ジの 流入元 ・経 由情報 を分析 した結果 に よれ ば , 自民党の 場合,
多様化す る メ デ ィ ア環境 と政治広告 35
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バ ナ ー広告 な どの 他サ イ トの 広告経 由が 12.0% で あ っ た 。 自民党は バ ナー広告,
リア ル タイム 入札 で ターゲ ッ トへ 配信 で きる ア ドエ ク ス チ ェ ン ジ,多数の サ イ ト
へ の 広 告出稿が 可 能な ア ドネ ッ トワー
ク な ど を駆使 し, イン ター ネ ッ ト広告の 出
稿 に お い て も他政 党に 大差 をつ けて い た 。 また 自民 党 は 「自民党」 や 「参議院選
挙 」 な どの 検 索 キー
ワー ドを リ ス テ ィ ン グ 出稿 し, 広告以外の 自然検索経由は
45.9% で 民主 党の 約 2.8倍 に上 り. フ ェ イ ス ブ ッ クや ツ イ ッ ター な どの ソ ー シ ャ
ル メ デ ィア を含む広告以外の 他サ イ ト経由 も 17.5% で他政 党をリー ドして い た (ヴ
ァ リ ューズ)。
しか し,オ ン ラ イ ン 政治広告 に莫大 な資金が つ ぎ込 まれた割 に は,政党ホ ーム
ペー ジ へ の 訪問率か ら検討する と,あ ま り効 果が なか っ た よ うで あ る 。 GQogle
社 な どが共 同で 行 っ た 「ネ ッ ト選挙動向調査 」 に よ れ ば,政 治情 報源 と して の テ
レ ビ利用が 95% , イ ン タ ーネ ッ トが 41% で , 5 月 23 日か ら7 月 18 囗 まで の 政 ll 6 )
党 ホ ーム ペ ージ の 訪問率は 1 %未満で あ っ た (7’加 顳 %g’oπ Post 2013年 7 月 30
日)。
一般 的 に イ ン タ ー ネ ッ ト接触 は若年層 に お い て 多い 傾 向が あるが , こ の 調
査で は政治問題 に 関 して は 年齢 の 高い 男性 ほ ど イン ター
ネ ッ トか ら情報 を得 る傾
向が見 られた。 オ ン ラ イン 政治広告の 効果 に つ い て は, ア メ リカ で行わ れ た フ ェ
イス ブ ッ ク広告 を用 い た フ ィー
ル ド実験か ら も,候補者認知や 候補者へ の 好意的
な態度形成に対する影響はか な り限定的で あっ た こ とが確 認 されてい る (Broockman
& Green 2013)。 また,2013年参議院議員選挙 の バ ナー
広告 の 内容は t 政策議論
や 争 点提示 よ り候補者紹介や 演説会告知 に と どま っ た (『産経新聞』2013 年 7 月 22
日)。
5 . お わ りに
こ れ まで の マ ス ・メ デ ィ ア政治広告は, 表面的な イメー ジや ス ロ ーガ ン で 政治
参加の 促進 どこ ろ か ,政治不 信感や 政治的 シ ニ シズ ム を増幅 させ , さらに資金力
の ある政 党が 優 位に 選挙 キ ャ ン ペ ーン を展 開 して い る と批 判 され て きた 。 1990
年代後半以降 , 政党 の 政策や 主張 をユ ーモ ラ ス に描 く型破 りな TV 広告 も相次 ぎ,
政 治広 告が 争点 を打 ち出 し, 政治参加意識 を高 め る 政治情報 源 と して 機能する よ
り,政治的シ ニ シ ズム を助 長 し,政治参加 を阻害 させ て い る とい う批判 も集 まっ
c7 )
た。 有権者を対象 と した調査か らも,政治広告に お い て 自分 自身よ り他者へ の 影
響 を よ り知覚する第三 者効果が確認され ,男性が 女性 よ り, 政治に対する知識 が
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あるほ どその よ うな知覚が強 い 傾 向が見 られ た (Lee 2009)。 また TV 政治広告 を
呈示刺激 と した実験 よ り,メ ッ セ ー ジ の 攻撃性を感 じる ほ ど,第三 者効 果が大 き
くなる こ とが 明 らか に な っ た (李 2011)。 有権者 を対象 とした イ ン タ ビ ュー調査
か らは 有権者の 政治広告 の 評価類型 として 「政治広告シ ニ シ ズ ム 型」が抽出され c8)て い る (李 2001)。 こ れ らの 結果は, 政治広告 に 対 す る信頼 性や評価が 低い こ と
を勘案す る と, 「望 ま し くない 」政 治情報 に 影響 され る 「彼 ら」が 政治に影響 を
与 え る こ とが で きる とい う知覚が 政治に対す る無力 感や シ ニ シ ズ ム をもた ら し,
政治参加意識 を低減 させ る可能性 を示す もの で ある (Lee 2009 : 李 2011)。
金 の か か らない 選挙の切 り札 だ っ たはず の イ ン ター
ネ ッ ト選挙 も,選 挙 キ ャ ン
ペ ーン に おい て 政党間の デ ジタ ル格差 を生 じさせ た 。 新 しい タ
ーゲテ ィ ン グ広告
な どの 手法に よ り,有権者の 行動デ ー タ を活用 す る こ とで ,有権者が 関心 の 高い
情報 に簡単に ア クセ ス で きる広告 を展 開 し,民 主主義を促進す る と擁護する声が
ある一方で,選挙キ ャ ン ペ ー ン費用 の 増加 , 個 人情報の 問題 オ ン ラ イ ン 上の 自
由 な政治議論の 萎縮 な ど, 民主 主義 へ の 脅威 と な っ て い る と批 判 さ れ て い る
(Turow , Carpini, Draper& Howard −Williams 2012)。
メ デ ィ ア 環境の 多様化に よ り,マ ス ・メ デ ィ ア に よ っ て 「媒介」され る 政治情
報に加え,有権者 はイ ン タ ーネッ ト空 間に おい て 政党や政 治家か ら発信 さ れ る情
報,有権者同士 で 交換 ・共有 され る情報 な ど,多様 な政治 的情報 や意 見 に 簡単 に
接触で きる よ うに な っ た 。 イ ン ターネ ッ ト上の 政治情報 の 拡大は ,有権者の 政治
に対する 関心 と政治的有効性感覚を高め る と期待 さ れて きた 。 しか し,前述 した
デ ー タや 調査結 果 は,有権 者が ,イ ン ター ネ ッ ト社会が もた ら した多様な政治情
報に積極的に接触 し , 政治参加が促進 されて い る とは言い が たい もの で ある 。 ま
た , ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア な ど,興味 ・関心 の ある情報に対 し選択的接触が 行われ
や すい とい う特徴か ら, イ ン ター
ネ ッ ト上 で は政治的志向や信 念に一致す る政治
情報や , 支持する政党や候 補者 が発信 す る情報 に よ り積極的 に接触 , 注 目 し,既 d/9 )
存の 態度 を強化する情報行動が頻繁に 行わ れて い る 。 こ れ は 多様な情報に基づ い
た世論 形成 を制 限 し,政治 的分極化 を生 じさせ (前嶋 2013),政治 的寛 容 を低減
す る もの で あ り (Knobloch−Westerwick 2012), 民 主主義の 理 念 に も反する こ とで
あ る 。 今後 , 多様化 す る メ デ ィ ア 環境 にお い て, 政治広告が有権者の 健全 な 政治
批判意識 と政 治参加 意識 を活性化 させ る政治情 報源 と して 機 能で きる よ うにす る
た めに, さらなる研 究 と検討が必要で ある 。
多様 化す る メ デ ィア環境 と政治広告 37
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注
(1) 18歳以上 の ア メ リカ成人男女 1,006名 を対 象に 2012年 10月 12 日か ら 14 日 に
か けて 実施 した 電話調査で ,選挙権 を持 つ ネ ッ トユ ーザ ーは 721名で あ っ た 。 その
3 分の 2 (66%)が 2012年大統領選 と関連する オ ン ラ イン 政治動画を視聴 し,選挙
へ の 関心が 高 く,年齢が 低 い ほ ど, また教 育 レ ベ ル が高い ほ どオ ン ラ イ ン政治動 画
を視聴する傾向があ っ た 。 支持政党や 政治的志 向に よ る違 い は 見られ なか っ た (Pew
Research Center)。
C2) こ れ まで 日本で の 政治広 告の 歴 史や 展開に つ い て ,明治初期か ら戦前 まで の 時
期 を 中心 と した 新 聞政治広 告 史 を考察 した 山本 (1972). 1960 年代 後半 の 政 治広告
を中心に 検討 した河村 (2001),2000年衆議院議員選挙 の 選挙ポス ターを分析 した
東大法 ・蒲島郁夫ゼ ミ (2002),1990年代初頭の 政治改革 と公職選挙法改正後の 政
治 広 告 の 変 容 に つ い て 1996年衆議 院議 員選挙 の 政 治広 告 を対 象に検 討 した川 上
(1998),2001年参議院議員選挙 の 政 治広告 を分析 した 川 上 (2002),政 治情報学の
視点 か ら政治広 告を考察 した高瀬 (1999 ;2005)な どの研究成果が報告 されて い る 。
(3 ) 共同通信社が 参院選投 票 日の 7 月 21 日に全 国の 8万 784 人の 有権 者 を対 象に
実施 した出口調査 の 結果である 。
(4 ) 2012年 4 月 23 口か ら 5 月 6 日に か けて L503 人 の 18 歳以上 の ア メ リカ成人男
女 を対象に行われ た 電話調査 の結果 で ある 。
(5 ) 例えば,朝 日新聞デ ジ タ ル は , トッ プ また は 政治面 を除い た 速報面で ,画面上
部横長 の ブ ラ ン デ ィ ン グボ ー ドバ ナー
や レ ク タ ン グ ル な どの バ ナー,テ キ ス ト,画
面右側の レク タ ン グ ル ,動画,ッ イ ッ ター
などの リア ル タ イム 表示 を連動 した ワ ン
ス トッ プ 特設枠 な ど の オ ン ラ イ ン 政党広告枠 を用 意 し,朝 日新 聞デ ジ タ ル の 媒体 力
を活か し,選挙期間中政党ホーム ペ ージを閲覧 した り,ッ イー トをフ ォ ロ
ーす る支
持者 以外 の 無党 派層 に リーチで きる と呼 びかけた (朝 日新 聞デ ジ タル )。
(6 ) 政党公式ホー
ム ペ ージ (候補者含む)の 訪問率 は,自民党が 1.18% で, 民主党 ,
維新 の 会 ,公明党共 に 0.34% ,み ん なの 党 0.29%で あ っ た 。
(7 ) 筆者が吉 田秀 雄記 念事業財団 の 助 成 を受け,2009年 1月 26 日か ら 27 日まで マ
ク ロ ミ ル 社 の パ ネル を対象 に,IP85 名 (男 :542,女 :543)の 全国 の 有 権者 に実 施
した ネ ッ ト調査の 結果で ある 。
(8 ) 「政治広 告 シ ニ シ ズム 型」 は政治 へ の 関心の 高 い 層 を中心 に TV 政治広 告に不
信感 を表す発話内容が 目立 っ た。一方,新聞広告や 政見放送を中心 に政党 ・候補 者
が直接発信す る情報 を評価す る発言 (政治広告期待型),政治広告や政治情報源 に対
する提案や要望 (政治広告提案型)が 見 られ た 。 若年層は 「情報」 と して の 政治広
告よ り,「娯楽」と して の 政治広告に注 目する傾向が あ っ た (政治広告消費型)。
(9 ) 有権者 の 情 報行動 に見 られ る選択 的接触の た め ,政党や候補者 自身が ,支持層
をター
ゲ ッ トと した情報発信 に焦点を当て る傾 向も見 られ る 。 Salmond (2012)は動
画共有サ イ トの 政治動 画が 政治文化に 影響す る可能性に注 目し,YouTube に投稿
され た 12か国 の 3,ll8本の 政治 キ ャ ン ペ ーン動 画 を分析 して い る 。 国 によ る差は あ
る もの の ,全体 的に テ レ ビ よ りポ ジテ ィ ブな内容 の 政治広告が 多 く,そ の 理 由と して ,
政治へ の 関心が 高 く,政治知識が豊富で 支持する 候補 の 動 画 を視聴す る傾向の ある
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有権者 層 をターゲ ッ トと して い る こ とを挙げて い る 。
引用 ・参 考文献
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