Gender differences in the genetic and environmental determinants of adolescent depression

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性役割パーソナリティ(BSRI)の個人差に及ぼす 遺伝的性差・環境的性差 1 佐々木 掌子 慶應義塾大学 山形 伸二 日本学術振興会(慶應義塾大学) 敷島 千鶴 慶應義塾大学 尾崎 幸謙 日本学術振興会(慶應義塾大学) 安藤 寿康 慶應義塾大学 Gender dierences in genetic and environmental etiology of gender role personality ïBSRIð Shoko Sasaki ïKeio Universityð, Shinji Yamagata ïJapan Society for the Promotion of Science, Keio Universityð, Chizuru Shikishima ïKeio Universityð, Koken Ozaki ïJapan Society for the Promotion of Science, Keio Universityð, and Juko Ando ïKeio Universityð This study investigated the possible eects of genetic and environmental gender dierences in eect on individual dierences by using the Bem Sex Role Inventory ïBSRIð with twins. A sex/gender-limitation analysis, a behavior genetics methodology was used to the following: ïað eects of gender-specic genes, ïbð gender dierences in quantitative genetic eects, ïcðeects of gender-specic shared environment, ïdðgender dierences of quantitative shared environment, andïeðgender dierences of quantitative nonshared environment. Participants were adolescent and adult twins, including 111 identical male pairs, 241 identical female pairs, 36 fraternal male pairs, 65 fraternal female pairs, and 58 opposite-gender pairs. The results indicated that although masculinity and femininity were explained by genetic factors to some extent, there were no signicant gender dierences in the genetic factors. Moreover, because our data did not support a model which explained gender dierences in the eects of specic common environment factors, no evidence was found to support the prenatal hormonal hypothesis or the existence of parenting which encouraged children’s gender role personality. Key words: sex, gender, Bem Sex Role InventoryïBSRIð, twin, behavior genetic. The Japanese Journal of Psychology 2009, Vol. 80, No. 4, pp. 330-338 男らしさや女らしさの個人差を生み出す要因は,男 女で共通なのであろうか,あるいは異なるのであろう か。 心理学では,性差といえば生物学的性差であるとみ なしてきたこれまでの研究の反省をふまえ,性差は社 会が男女に異なる役割を与えたために生じたものであ るという視点から研究が発展してきた。その先鞭をつ けたのが Bem1974)による Bem Sex Role Inventory (以下 BSRI とする)の開発である。この男らしさと 女らしさを独立に測定した尺度では,男らしさや女ら しさの個人差を生み出す要因を社会や文化に求めてき た。Bem1993 福富訳 1999)は,masculinity が高く femininity が低い男性と masculinity が低く femininity が高い女性は,ʠ文化全体を意識しながら情報処理を するよう非常に強く文化に染まった人ʡであると捉え ているため,たとえばホモフォビア(同性愛嫌悪)の 検討をすることで,男性が女らしさの自己概念化に制 限をかけている(McCreary, 1994)ことを明らかにす る研究が行われてきた。 また,親の影響については多くの報告がある。 BSRI のような性役割パーソナリティ特性の中核的内 容について,masculinity は作動性(agency),feminin- ity は共同性(communion)である(Bakan, 1990)と いわれてきており,こうした共感性や協調性,やさし さ,親切さなど,他者とのかかわりに関する共同性に ついて,親はʠ娘ʡに対して多く促し,独立性や支配 性,強さ,自信など,個人の主体性に関する作動性に ついて,親はʠ息子ʡに対して多く促す傾向があると い う。こ れ は 幼 児 期,学 童 期 に お い て も(Brody, 1999, 2000; Eisenberg, Cumberland, & Spinrad, 1998; Haviland & Malatesta, 1981; Malatesta, Culver, Tesman, & 心理学研究 2009 年第 80 巻第 4 pp. 330-338 原著 Correspondence concerning this article should be sent to: Shoko Sasaki, Faculty of Letters, Keio University, Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345, Japan e-mail: gender_identity_study@hotmail. com1 本研究は,平成 11 Human Frontier Program(研究代表者安 藤 寿康)を受けて行われた。

Transcript of Gender differences in the genetic and environmental determinants of adolescent depression

性役割パーソナリティ(BSRI)の個人差に及ぼす

遺伝的性差・環境的性差1

佐々木 掌子 慶應義塾大学 山形 伸二 日本学術振興会(慶應義塾大学)

敷島 千鶴 慶應義塾大学 尾崎 幸謙 日本学術振興会(慶應義塾大学)

安藤 寿康 慶應義塾大学

Gender di亜erences in genetic and environmental etiology of gender role personality =BSRI>

Shoko Sasaki �Keio University�, Shinji Yamagata �Japan Society for the Promotion of Science, Keio

University�, Chizuru Shikishima �Keio University�, Koken Ozaki �Japan Society for the Promotion of

Science, Keio University�, and Juko Ando �Keio University�

This study investigated the possible e唖ects of genetic and environmental gender di唖erences in e唖ect on

individual di唖erences by using the Bem Sex Role Inventory �BSRI� with twins. A sex/gender-limitation analysis, a

behavior genetics methodology was used to the following: �a� e唖ects of gender-specic genes, �b� gender

di唖erences in quantitative genetic e唖ects, �c�e唖ects of gender-specic shared environment, �d�gender di唖erences

of quantitative shared environment, and�e�gender di唖erences of quantitative nonshared environment. Participants

were adolescent and adult twins, including 111 identical male pairs, 241 identical female pairs, 36 fraternal male

pairs, 65 fraternal female pairs, and 58 opposite-gender pairs. The results indicated that although masculinity and

femininity were explained by genetic factors to some extent, there were no signicant gender di唖erences in the

genetic factors. Moreover, because our data did not support a model which explained gender di唖erences in the

e唖ects of specic common environment factors, no evidence was found to support the prenatal hormonal

hypothesis or the existence of parenting which encouraged children’s gender role personality.

Key words: sex, gender, Bem Sex Role Inventory�BSRI�, twin, behavior genetic.

The Japanese Journal of Psychology2009, Vol. 80, No. 4, pp. 330-338

男らしさや女らしさの個人差を生み出す要因は,男

女で共通なのであろうか,あるいは異なるのであろう

か。

心理学では,性差といえば生物学的性差であるとみ

なしてきたこれまでの研究の反省をふまえ,性差は社

会が男女に異なる役割を与えたために生じたものであ

るという視点から研究が発展してきた。その先鞭をつ

けたのが Bem(1974)による Bem Sex Role Inventory

(以下 BSRIとする)の開発である。この男らしさと

女らしさを独立に測定した尺度では,男らしさや女ら

しさの個人差を生み出す要因を社会や文化に求めてき

た。Bem(1993 福富訳 1999)は,masculinity が高く

femininity が低い男性と masculinity が低く femininity

が高い女性は,]文化全体を意識しながら情報処理を

するよう非常に強く文化に染まった人jであると捉え

ているため,たとえばホモフォビア(同性愛嫌悪)の

検討をすることで,男性が女らしさの自己概念化に制

限をかけている(McCreary, 1994)ことを明らかにす

る研究が行われてきた。

また,親の影響については多くの報告がある。

BSRIのような性役割パーソナリティ特性の中核的内

容について,masculinityは作動性(agency),feminin-

ity は共同性(communion)である(Bakan, 1990)と

いわれてきており,こうした共感性や協調性,やさし

さ,親切さなど,他者とのかかわりに関する共同性に

ついて,親は]娘jに対して多く促し,独立性や支配

性,強さ,自信など,個人の主体性に関する作動性に

ついて,親は]息子jに対して多く促す傾向があると

いう。これは幼児期,学童期においても(Brody,

1999, 2000; Eisenberg, Cumberland, & Spinrad, 1998;

Haviland & Malatesta, 1981; Malatesta, Culver, Tesman, &

心理学研究 2009年 第 80巻 第 4号330心理学研究 2009年 第 80巻 第 4号 pp. 330-338原著

Correspondence concerning this article should be sent to: Shoko

Sasaki, Faculty of Letters, Keio University, Mita, Minato-ku, Tokyo

108-8345, Japan (e-mail: gender_identity_study@hotmail. com)1 本研究は,平成 11年 Human Frontier Program(研究代表者安

藤 寿康)を受けて行われた。

Shepard, 1989),青年期においても(Ryan & Lynch,

1989),成人期においても(Brody, 1996; Frank, Avery,

& Laman, 1988; Geuzaine, Debry, & Liesens, 2000)みら

れるといわれるものの,子どものもつ傾向に即して親

が反応をしているのかもしれないという批判

(Collins, Maccoby, Steinberg, Hetherington, & Bornstein,

2000)もあり,親が子どもの傾向を形成しているの

か,あるいは子どもの遺伝的な傾向に反応しているの

かについては明らかではない。

一方,masculinityと femininityの個人差に関する要

因については生物学的な要因も検討されている。たと

えば女性の masculinityとテストステロンレベルとの

間に関連があることはしばしば報告される(Baucom,

Besch, & Callahan, 1985; Deady, Smith, Sharp, & Al-

Dujaili, 2006; Grant & France, 2001; Udry & Talbert,

1988)。また,女性の第二指・第四指比(2D:4D)は

胎生期のテストステロン曝露とに負の相関,胎生期の

エストロゲン曝露とに正の相関があるといわれている

が,Csatho, Osvath, Bicsak, Karadi, Manning, & Kallai

(2003)は,女性の masculinityと 2D:4Dとの間に関

連を見出している。この他,男性の masculinity とラ

テラリティとの関連(Kozaki & Yasukouchi, 2005),女

性の masculinityとアンドロゲンレセプター転写活性

領域のマイクロサテライトにある CAG繰り返し塩基

の数との関連(Baghaei, Rosmond, Landen, Westberg,

Hellstrand, Holm, Eriksson, & Bjorntrorp, 2003)なども

報告されている。ただしこれには支持しない研究

(Loehlin, Jönsson, Gustavsson, Schalling, Stallings, 2003)

もある。

特に遺伝の影響については,双生児法を用いた行動

遺伝学研究でも検討がされてきた。行動遺伝学とは行

動の個人差に及ぼす遺伝子型の多型と環境の変動の影

響を計量的に明らかにする,行動科学と量的遺伝学の

学 際 領 域 で あ る(Plomin, De Fries, McClearn, &

McGu阿n, 2008)。これまでの行動遺伝学研究では,精

神疾患やパーソナリティといった領域で活発に研究が

進められてきた(Jang, 2005 安藤・大野監訳 2007)

が,ジェンダー研究にこそ,遺伝と環境の両者を射程

に組み込める方法論が必要である。行動遺伝学は,生

物学と社会学をつなぐ交流点として,新たなジェンダ

ー研究の地平を切り開くアプローチだといえる。特に

]性別特有の遺伝,環境効果が見出されるのかjに関

心がある場合には,性別限定モデル(Eaves, Martin, &

Eysenck, 1977)を適用することで,統計的にそれを明

らかにすることができる。

行動遺伝学と性別限定分析

行動遺伝学の方法論をジェンダー研究において用い

ることが意義深いのは,モデル適合分析を用いること

で性別特有の遺伝や共有環境の効果の有無や大きさを

検討することができるからである。

行動遺伝学では,親から受け継いだ遺伝子を互いに

100%共有する一卵性双生児(Monozygotic Twin:以

下MZとする)と,50%の確率で共有する二卵性双生

児(Dizygotic Twin:以下 DZとする)のデータから,

共分散構造分析の多母集団モデルを用いて,ある心理

尺度についての全分散を相加的遺伝(A),共有環境

(C),非共有環境(E)の三つの効果の分散に分解する

ことができる2。

相加的遺伝(A)とは,多数の遺伝子の表現型に対す

る効果のなかで相加的成分に由来する効果のことであ

る。個人差が単一の遺伝子だけで引き起こされるので

はなく,一つ一つは小さな効果でも多数の遺伝子が相

加的に影響を与えるために効果をもつ遺伝要因を指

す。共有環境(C)とは,双生児法では双生児のきょう

だいが共有しているがゆえにきょうだいを類似させる

環境のことを指す。たとえば家庭内の雰囲気や養育方

針,社会階層などがきょうだいを類似させていたとし

たら,そこには共有環境効果が存在すると考えられ

る。ただし共有環境は胎生期の子宮内環境なども含ま

れるため,きょうだいを似させる遺伝以外の環境すべ

てである。最後に,非共有環境(E)とは,双生児を類

似させない非遺伝的要因すべてであり,きょうだいの

うち一人だけがもつ独自の環境を指す。なお,これに

は測定誤差も含む(安藤,2001a, b)。

分散を A・C・Eそれぞれの要因に分解するには,

潜在変数として遺伝要因と環境要因を設定し,観測変

数として測定されたデータから得られた性別,卵性別

の分散共分散行列を説明するモデルを立てる。この

際,双生児ごとに異なる遺伝と環境の影響の違いをき

ょうだいの間に固定母数として置く。固定母数は相加

的遺伝(A)が MZ きょうだい間で 1,DZ きょうだい

間で 0.5,共有環境(C)がMZと DZ共に 1である。

では分解された効果の分散に性別特有の効果を見出

すには,どうすればよいのか。それは DZ異性ペアの

データを用いることで分析が可能になる。MZと違い

DZには同性ペアと異性ペアがいる。原理としては,

DZ同性ペアと異性ペアの類似性を比較し,類似性に

違いがなければ性差はなく,後者の類似性のほうが低

ければそこには性別特有の遺伝の影響,共有環境の影

響があると判断できる。実際には単純な相関係数で判

断するのではなく構造方程式モデリングを使用する。

これによりすべての双生児グループの遺伝と環境の効

佐々木・山 形・敷 島・尾 崎・安 藤:BSRIの遺伝環境性差 331

2 もう一つの遺伝要因として非相加的遺伝(D)があるが,MZ

と DZだけのデータでは方程式の数から解は三つまでしか求め

ることができず ADCEを同時に分析することはできないため,

ここでは割愛した。Dとは同じ遺伝子座にある対立遺伝子同士

の相互作用効果である。また,異なる遺伝子座にある対立遺伝

子同士の相互作用効果の場合はエピスタシスと呼ばれ,Dに含

まれる。

果についてさまざまなパラメータを同時に推定できる

ため]o性差ありモデルpとo性差なしモデルpの適

合度を比較し,よりあてはまりの良い方を採択する

(安藤・鎌倉・前川,2003)jことで性差を検討するこ

とができるのである。

これまでセックスとジェンダーの二分法に対しさま

ざまな批判が投げかけられ]nature か nurture かとい

う 2項対立的分類に従って,どこまでが生物学的な性

による影響,どこからが文化的な性による影響と境界

線を引くことは容易ではない(鈴木,1997)jといわ

れてきた。しかし本分析法によって,遺伝と環境の影

響を実証データから明らかにすることができるのであ

る。

本研究の目的

行動遺伝学ではこれまで一般パーソナリティ尺度を

一部抜粋して遺伝と環境の影響力の男女差を検討した

研 究(Lippa & Hershberger, 1999; Loehlin, Jönsson,

Gustavsson, Stallings, Gillespie, Wright, & Martin, 2005)

が行われてきた。しかし,性役割パーソナリティの直

接的尺度である BSRIについては検討されてこなかっ

た。

BSRIはジェンダー・ステレオタイプな自己概念を

測定するためにしばしば用いられるが,Lippa(2005)

により二つの批判がされている。第一に共同性(表出

性),作動性(道具性)を測定しているに過ぎず,ジ

ェンダーに関する行動を予測できないので,そもそも

性役割を測定していない,第二にビッグファイブと重

複しており,femininity は調和性と誠実性,masculin-

ityは,外向性と神経症傾向との重なりが指摘されて

おり,masculinity・femininity という新たなパーソナ

リティ特性を測定しているわけではない。しかし一方

で,社会が変化してもジェンダー・ステレオタイプの

内容自体に変化はみられず(Hosoda & Stone, 2000),

共同性と作動性というパーソナリティ特性は多面的な

女性性,男性性諸相のうちの構成要素の一つである

(Deaux & Lewis, 1984)という捉え方がされており,

その流れから上記で述べた多くの知見が提供されてき

た。したがって,この知見の積み重なったパーソナリ

ティ領域の遺伝的,環境的性差を検討することは意義

深いと考えられる。

またこれまでは,単に男女別で遺伝率を算出しただ

けに留まっているため,性別特有の影響については言

及できなかった。本研究ではこの 2点を取り扱い,研

究知見の積み重なった尺度である BSRI について,

DZ異性ペアを用い,性別特有の効果を検討する。

方 法

調査協力者

慶應義塾双生児研究プロジェクト(Shikishima,

Ando, Ono, Toda, & Yoshimura, 2006)に登録された双

生児に質問紙を郵送した。最終的に有効な双生児組数

は,一卵性双生児(MZ)352組(男性 111組,女性 241

組),二卵性同性双生児(DZ)101 組(男性 36 組,女

性 65組),二卵性異性双生児(DZ-opp)58組である。

平均年齢は女性 20.85 歳(15 30 歳:SD4.00),男性

19.84歳(14 30歳:SD4.06)であった。

調査協力者の卵性診断は,主に外見的類似性に基づ

く卵性診断用の質問紙(大木・山田・浅香,1991;

Ooki, Yamada, Asaka, & Hayakawa, 1990)を用い,

DNAマイクロサテライト法により検出された遺伝子

型がきょうだいで不一致を示したペアは二卵性とし

た。

質問紙

BSRI 日本語版(安達・上地・浅川,1985)を用い

た。これは]子どもをかわいがるj,]しとやかなj,

]女らしいj,]母性のあるjといった femininity を示

す 20項目と]勇敢なj,]力強いj,]男らしいj,]明

確な態度のとれるjといった masculinityを示す 20項

目の計 40項目からなる。]全くあてはまらないj,]や

やあてはまらないj,]どちらでもないj,]ややあては

まるj,]よくあてはまるjの 5件法であり,20項目

の合計得点をそれぞれ masculinity得点,femininity得

点とした。

性別限定分析

性別限定分析には 2種類のモデルが考えられる。一

つが A(遺伝)や C(共有環境)の効果量に性差があ

るとするモデル(Figure 1 は遺伝効果量の性差モデ

ル)であり,もう一つが性別特有の Aあるいは Cの

効果があるとしたモデル(Figure 2は遺伝効果の性別

特有モデルであり図は DZ異性ペアにおける遺伝要因

のみの表記)である。

効果量の性差モデルは効果量について性別間で等値

の制約を置かないモデルであり,量的な性差を検証す

る。一方,性別特有モデルはたとえば遺伝の性別特有

モデルの場合,同性の DZで 0.5相関している遺伝要

因に加えて一方の性別にしか影響を与えていない

(DZ 異性ペアで無相関の)遺伝要因を仮定する。も

しこのモデルが採択された場合は量的性差ではなく性

別特有の遺伝要因の存在を示唆できる。したがって本

研究で検討できる性差は 5パターンになる。

(a)性別特有の遺伝効果(A�)が見出されれば,男

女で異なる遺伝子の影響を示すことになり以下の三つ

心理学研究 2009年 第 80巻 第 4号332

の可能性を考えることができる。一つめは男女の経験

する環境によって遺伝子の発現の仕方が異なる(遺伝

環境交互作用),二つめは Y染色体上の遺伝子がある

かないかで他の常染色体上の遺伝子の発現の仕方が異

なる,三つめは Y染色体上の遺伝子自体が直接影響

をもつ。

(b)遺伝の効果量(A)の性差が見出された場合は,

遺伝子がもつ効果の量が男女で異なると考えられる。

具体的には,もつ遺伝子が一つ増えると女性には大き

い効果があるにもかかわらず,男性には女性よりも効

果がないようなケースを指す。

(c)性別特有の共有環境効果(C�)が見出される

と,男女で異なる環境の影響が示唆される。たとえば

男性がゆえに双生児共にホモフォビック(同性愛嫌悪

的)なしつけを受けていたということや女児双生児共

に女児特有のおもちゃを与えられていたということが

性別特有の環境として一律に効果をもつ場合を指す。

またこれは双生児が共有するあらゆる環境を指してい

るため,胎生期に同じ母親の子宮,胎盤を共有し同じ

ホルモン環境にあったということも含んでいる。した

がってしばしば取り沙汰される胎生期のホルモン環境

仮説はこの効果から検証可能である。

(d)共有環境の効果量(C)の性差が見出された場合

は,共有環境の影響の受け方の強さに性差があること

を示す。たとえば双生児とも同じように]子どもをか

わいがるようj育てられた環境だったにもかかわら

ず,それが男女で異なる強さの影響をもたらしている

とすればこの効果が見出される。その環境に対する反

応や受け止め方の大きさに性差がある場合である。

(e)非共有環境(E)の効果量の性差が見出されると,

非共有環境の影響の強さが男女で異なることを示し3,

環境の影響の受けやすさや環境の変動自体に性差があ

ることを意味する。非共有環境とは双生児の類似しな

い部分に影響を与える環境のことであるため,たとえ

ばスポーツ経験の有無という非共有環境が性役割パー

ソナリティに対して男女で異なる影響を与え,相対的

に男性のほうがスポーツ経験の影響を受けやすい可能

性や男性のほうが女性よりもスポーツを通じてパーソ

ナリティ形成をする傾向がある可能性などが考えられ

うる。ただし本研究では具体的な環境要因を特定する

ことはできない。

各モデルについて遺伝あるいは環境要因に性差があ

るモデルが採択されるのか否かを適合度指標として

AIC と BIC を比較することで検討した。解析には

SPSS11.0とフリーソフトフェア Mx(Neale, 2004)を

用い,スクリプトは Neale & Maes(1992)を参考にし

た。

結 果

基礎統計量

尺度の信頼性(a係数)は masculinityが女性.90男

性 .92,femininity が女性 .85 男性 .85 であった。femi-

ninityの平均値は女性(69.51, SD9.88)のほうが男性

(66.64, SD10.37)よりも有意に高かったが(t=4.44,

df=1 073,p<.001),masculinityに平均値の有意な性

差はなかった(女性 61.79, SD12.71,男性 62.52,

SD13.66:t=-0.87, df=1 073, ns)。なお,本研究が

問題としているのは,平均値の差に寄与する遺伝と環

境の影響ではなく,分散に寄与するそれである。基礎

統計量と級内相関は Table 1と Table 2に示す。女性

では femininityと masculinityともに MZのほうが DZ

よりも相関係数値が大きいが男性では femininity が

MZと DZで同値であった。そこで共分散行列を使用

し,男女でどのモデルが採択されるのかモデル適合分

析を行う。

性別限定分析によるモデル適合分析

構造方程式モデリングを使用し,以下のモデルを比

較した。まず,C�(性別特有の共有環境要因)と A�

佐々木・山 形・敷 島・尾 崎・安 藤:BSRIの遺伝環境性差 333

Figure 2. A model with gender-specic genetic factor(only

DZ-opposite case is shown).

Figure 1. Models with di唖erent quantitative gender e唖ects.

3 Eにはきょうだい間に固定母数を置くことができないため,

性別特有の効果の検証はできない。

(性別特有の遺伝要因)を想定するモデルを立て性別

特有の要因が見出されるか否かを検討した(Figure 2

参照)。その後,効果量の性差があるのか否かを検討

した(Figure 1参照)。一つ一つ等値の制約を課し,

課したときにモデルの c二乗値の有意差とモデル比

較のため AICおよび BICを算出した。

相対的な最適モデルは masculinityにおいても femi-

ninity に お い て も 7. maleAC= femaleAC, maleE≠

femaleE であり(masculinity は Table 3,femininity は

Table 4 参照),性別特有の要因はなく遺伝要因と共

有環境要因が等しく非共有環境要因に性差のあるモデ

ルであった。なおこのモデルの絶対的な適合度指標で

ある RMSEA は masculinity が 0.000 6,femininity が

0.085 であった。]一般的には,0.05 以下であれば良

好,0.1以上であれば NG, 0.05 0.1の間はグレーゾー

ンと判断される(小島,2005)jため femininity に関

してはグレーゾーンではあったが,相対的には妥当で

あると判断した。

採択された最適モデルの各分散の推定値を Figure 3

と Figure 4 に示す。共有環境要因の分散はきわめて

小さく,masculinityでは検出されなかった上に femi-

niityにおいても信頼区間に 0を含んでいるため,ほ

ぼ説明力がないことが示された。

考 察

本研究では]生物学的要因か心理社会的要因かj,

]セックスかジェンダーかjという二分法への批判に

応え,行動遺伝学の立場から性役割パーソナリティに

寄与する個人差要因の遺伝的,環境的性差を検討し

た。]社会的,文化的性役割jの自己概念化に]遺伝j

要因の寄与を想定し,その遺伝要因の性差を検討した

のである。

具体的には以下五つの性別(ジェンダー)効果につ

いて検討した。(a)性別特有の遺伝子の存在,(b)量的

な遺伝効果の性差,(c)性別特有の共有環境要因の存

在,(d)量的な共有環境効果の性差,(e)量的な非共有

環境効果の性差,である。その結果,(a) (d)につい

ての性差は認められず(e)の性差のみ検出された。つ

まり masculinityも femininityもある程度遺伝によって

説明できるものの,その遺伝要因に性差はなく,男女

で異なる遺伝子の機能も,遺伝子の効き方の強さの性

差もなかったのである。性役割パーソナリティの個人

差の説明に]男女で遺伝的に違うからだjと主張する

ことは妥当ではないといえる。これまで性差のあるパ

ーソナリティのいくつかで遺伝的性差がある(Rowe,

1994)といわれてきたもののエビデンスのバランスと

しては性差がない結果のほうが優勢であった(Lippa

& Hershberger, 1999)。本研究もそれを支持する結果で

ある。

共有環境要因は masculinityでは検出されなかった。

femininityについても信頼区間に 0を含んでおり,ほ

ぼ影響因とはならないことが示されている。したがっ

て,共有する環境が性役割パーソナリティに影響を及

ぼすということ自体が支持されなかった。これまでの

行動遺伝学研究では,共有環境の性差の影響を示唆す

る結果(Lippa & Hershberger, 1999)はあるものの,そ

もそもパーソナリティには一貫して共有環境は寄与し

ない(Ando, Ono, Yoshimura, Onoda, Shinohara, Kanba,

& Asai, 2002; Plomin et al., 2008)といわれており,

femininity と masculinity に相当する項目を使用した

Loehlin et al.(2005)の研究でも検出されていない。

特に本研究の卓見は,性別特有の共有環境効果とし

てしばしば挙げられる胎生期のホルモン環境仮説や性

役割ステレオタイプ的な育て方などの効果の証拠が得

られなかったことである。これは同じホルモン環境に

置かれても同じような性別特有の育て方をされていた

心理学研究 2009年 第 80巻 第 4号334

Table 1

Descriptive statistics for masculinity and femininity

N Mean SD a t p

masculinity

 female 707 61.79 12.71 .90-0.87 ns

 male 368 62.52 13.66 .92

femininity

 female 707 69.51 9.88 .854.44 p < .001

 male 368 66.64 10.37 .85

Table 2

Intraclass correlations for 10 cases(gender zygosity

masculinity and femininity)

MZ DZ DZ-opp

masculinity

 female .47 .26.08

 male .42 .09

femininity

 female .49 .20.37

 male .24 .24

佐々木・山 形・敷 島・尾 崎・安 藤:BSRIの遺伝環境性差 335

Table 3

Model fi t indices for masculinity

model D c2 D df p AIC BIC

1. maleACE femaleACE+C' -9.53 25.43

2. maleACE femaleACE+A' -9.82 25.14

3. maleACE femaleACE -11.53 22.72

4. maleA=femaleA, maleCE femaleCE 0.00 1 .98 -13.53 20.01

5. maleC=femaleC, maleAE femaleAE 0.91 1 .34 -12.62 20.92

6. maleE=femaleE, maleAC femaleAC 2.97 1 .09 -10.56 22.99

7. maleAC=femaleAC, maleE femaleE 0.95 2 .62 -14.58 18.25

8. maleAE=femaleAE, maleC femaleC 3.34 2 .19 -12.19 20.64

9. maleCE=femaleCE, maleA femaleA 4.19 2 .12 -11.34 21.49

10. maleACE=femaleACE 4.97 3 .17 -12.56 19.56

Note. A'=gender-specific additive genetic effect, A=additive genetic effect, E=nonshared environmental effect, C'=gender-specifi c shared environmental effect, C=shared environmental effect.

Table 4

Model fi t indices for femininity

model D c2 D df p AIC BIC

1. maleACE femaleACE+C' 1.37 36.33

2. maleACE femaleACE+A' 1.37 36.33

3. maleACE femaleACE -0.63 33.62

4. maleA=femaleA,maleCE femaleCE 1.09 1 .30 -1.54 32.00

5. maleC=femaleC,maleAE femaleAE 0.16 1 .69 -2.48 31.07

6. maleE=femaleE,maleAC femaleAC 7.71 1 .01 5.08 38.62

7. maleAC=femaleAC,maleE femaleE 1.56 2 .46 -3.07 29.76

8. maleAE=femaleAE,maleC femaleC 7.72 2 .02 3.09 35.92

9. maleCE=femaleCE,maleA femaleA 7.73 2 .02 3.09 35.93

10. maleACE=femaleACE 7.85 3 .05 1.22 33.35

Note. A'=gender-specific additive genetic effect, A=additive genetic effect, E=nonshared environmental effect, C'=gender-specifi c shared environmental effect, C=shared environmental effect.

Figure 3. Variances of masculinity for males and females. Figure 4. Variances of femininity for males and females.

としても,同じような性役割パーソナリティをもつに

は至らないことを示している。

この結果に至った理由として,標本全体を対象にし

ているため特有の効果を見出しにくいという可能性が

挙げられる。たとえば CAH(先天性副腎過形成症)

のように非常に高いレベルでのアンドロゲン曝露があ

れば影響があっても,DZ異性ペアで胎生期に同じ子

宮を共有する程度のアンドロゲン曝露では検出されな

い(Henderson & Berenbaum, 1997)という仮説がある

ように,特定の極端なホルモン環境に置かれた協力者

ではない本データでは,効果が見出されないことが考

えられる。この仮説を支持するように,DZ異性ペア

に着目して検討した研究(Loehlin & Martin, 2000)で

は,男性きょうだいと子宮を共有することが女性の全

般的な脳の男性化を引き起こすわけでも,女性きょう

だいと子宮を共有することが男性の男性化を弱めるわ

けでもないと結論付けている。また,育て方などのホ

ルモン以外の共有環境の影響についても同様に,たと

えば非常に家族凝集性が高い場合は共有環境の効果が

見出される(敷島・安藤,2004)可能性も考えられ,

本研究の場合は共有環境が影響を及ぼすだけの密度や

極端さがなかったことが推察できる。

最後に,非共有環境の影響については性差が認めら

れた。masculinityについても femininityについても男

性のほうが女性よりも環境分散が大きかったのであ

る。これは男性のほうが環境の影響を受けやすいこと

を示す。本研究では具体的な環境要因を特定すること

はできないが BSRIの尺度で男性のみに相関が認めら

れる形質があれば,それが男性の masculinity・femi-

ninityに影響を与えている環境指標の一つだと考える

ことができる。たとえば,男性のみに masculinity と

スポーツにおける競争と興奮やスポーツによる社会化

との相関がある(Koivula, 1999)ので,スポーツ経験

があろうとなかろうと女性の masculinityには影響が

及ぼされない一方,男性には影響すると考えられる。

前述したように,相対的に男性のほうが女性よりもス

ポーツが masculinity形成に寄与している可能性が考

えられる。今後は,このような環境指標を検討してい

く必要があるだろう。

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